法人成りの利点にも精通

税理士に会社設立の相談をする意味は他にもあります。会社設立といった場合、広い意味でとらえると、個人事業主、株式会社、合同会社など、様々な形態があり、それぞれ手続きの内容が異なります。例えば個人事業主の場合は、法人税の課税対象ではなく、個人の事業所得にかかる所得税と市町村民税がかかります。事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業から生じる所得のことを指します。さらに事業所得に対して、地方税として、個人事業税がかかります。さらに個人事業主の売り上げに対しては、8%の消費税がかかります。こういったことを頭に入れて、個人事業主は1年間の事業で得られた収入から経費を差し引いて、所得を計算します。

個人事業が順調に成長していくと、どこかで株式会社になった方が税負担が軽くなる局面がでてきて、専門家から会社になった方がいいですよと助言されるようになります。税務の世界ではこれを個人事業主の「法人成り」と呼ぶのですが、こうなると、所得は個人の事業所得ではなく、会社の法人所得になり、税の計算方法が変わります。経営者として役員報酬を計上できるようになり、その分利益を圧縮することで外部に流出する現金を減らすことが可能になります。

中小企業にとって現金の管理は大変重要な問題ですので、こういう点に丁寧な助言を行う知識経験が豊富な税理士は会社設立時の強い味方といえるでしょう。

起業家にとっての利点

税理士に会社設立時の相談を行うのは、起業家にとってもメリットがあります。会社設立には、たくさんのお金がかかりますし、お金がかかるということは、それに伴う事務作業が発生するということを意味します。例えば資金調達には自己資金、外部資本の導入、銀行等からの借り入れなど様々な手法がありますが、それには手数料などのコストもかかりますし、出資者への配当にも税金がかかりますし、利益にも税金がかかります。起業家が国や自治体からの助成金を活用することも一般的ですが、こういった助成金活用の書類作成や各種手数料が必要になります。

起業家は事業そのもののに関わりながら、その一方で、お金に関わる実務を行い、会計処理を行い、収入と支出を管理するとともに、営業活動を行わなければならず、多忙を極めます。会社設立時に一人であればまだ単純な処理で済みますが、誰かに報酬を払う必要があるのなら、所得税の源泉徴収などの税務処理も必要です。外部に業務委託を行うなら消費税の実務も必要です。このようなことを専門家にトータルでサポートしてもらうことのメリットは大きいです。お金は会社の血液ですから、血液循環をチェックしてもらう、いわば「かかりつけ医」のような存在として、税理士に相談すると考えておくとよいでしょう。

税理士にも会社設立を相談

会社設立に当たっては、自分で手続きをすることも可能ですが、様々な専門知識が必要になるため、全て自分だけで対応するのは実際には難しく、弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、そして税理士といった士業の専門家に相談することになります。本サイトでは、このうち、税理士に会社設立相談することについて説明します。

税理士に会社設立相談を行うメリットは、税務関連の各種届出書の作成や提出を代行することが可能な点です。会社の設立、運営、解散いずれの段階においても、税務をおろそかにはできません。また、税には国税と地方税があり、国税は会社設立地域を管轄する税務署へ、地方税は、設立住所の地方公共団体へ手続きが必要になります。

設立時に必要な書類は数多く、内容が複雑です。法人設立時に税務署に提出する書類は、「青色申告の承認申請書」、「給与支払い事務所等の開設届出書」、「源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書」、「棚卸資産の評価方法の届出書」、「減価償却資産の償却方法の届出書」の6つです。一方、地方税関連は都道府県及び市町村に対して手続きを行います。提出が必要なのは、各自治体へ提出する「法人設立届出書」と添付する定款の写し等と登記事項証明書です。都道府県の場合都道府県税事務所に税務関連の部署があります。また、市町村の場合は役場の法人住民税を扱う部署に提出します。このように会社設立時の税務については、複雑で提出書類が多岐にわたるため、税理士の力を借りるのが合理的です。